「きまりだからダメ」と言わないで

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数年前、ライブドア事件、村上ファンド事件などが世間を騒がせましたが、
一連の報道では、法に抵触しないから潔白であると当事者が主張。
しかもそれを支持する首相の答弁に、
何か腑に落ちないものを感じていた方も多かったのではないでしょうか。

元地検の次席検事であった郷原信郎氏は、
著書『「法令遵守」が日本を滅ぼす』の中で
「通常の法治国家においては当然の法令遵守を推し進めるだけでは不十分で、
社会の混乱と矛盾が極限に達することは確実である」と
いくつものの例を挙げて説明されています。

法令は「守らなければいけないもの」ではありますが、
「守るだけで良いもの」ではありません。

公務員の就労姿勢が世間の批判を浴び続けているのは、
「法令に従って物事の是非を判断するだけでよい」という
組織重視の硬直化した精神が染み付いているからにほかなりません。
一般企業においても今や社会的に大きな法令遵守が求められています。

医師や看護師の場合、絶えず個人を相手とする仕事ですから、
法令を遵守するだけでは患者の満足をかなえられず、
個々の状況に応じてもっと厳しい医療倫理に基づいた対応を迫られます。
事件が起こるたびに、法の不整備が取り沙汰されますが、
どんな法を作ろうとも、社会的不正はなくなりません。
法がなければ自律できないという法治国家が、人間社会の理想ではありません。

子どものしつけにおいて、「きまりだからダメ」と
高圧的に子どもを制止するのは止めてほしいと思います。
「きまりだからダメ」ではなく、
「他人に迷惑をかけるからダメ」と説明してあげてほしいのです。
「法令を守るだけで正義」という考えで
子どもの教育をしてはならないと私は思っています。
(2007.秋)
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